養育費の改訂値上げ 2人で10万円から15万円に増額した事例

1 ご相談の経緯

  10年ほど前に裁判で和解離婚した相談者(40代女性)は、夫(40代)との間に子2人を授かっていました。和解離婚では、1人5万円で10万円の養育費が決まり、支払を受けていましたが、長男が私立高校に入学し(子が15歳となると当然養育費の増額理由となります。)大学受験も控え、予備校に通学することになり、和解離婚を担当した弁護士に養育費の増額調停の依頼をしようとしましたが、算定表で決まるので自分ですればよいと断られ自ら養育費の増額調停の申立をしました。

夫は代理人に依頼し、相談者が和解離婚の際財産分与をたくさんもらったので養育費が小額となっているので、各2万円の増額なら調停に応ずる。

と算定表を下回る提案をしたので、当事務所に相談に見えました。

2 調停

  当職が受任し、養育費の改訂について、算定表に基づく金額を主張しましたが、相手方代理人は応じず審判(裁判官が養育費の増額について決定する手続です。)となりました。。

3。審判

   裁判官は、和解離婚の際の養育費の合意が、算定表より低額なので増額もその割合に拘束されると言いました。

  私は、考え方としてはそのとおりだが、和解離婚の際の養育費は、算定表に基づき算定されたことを主張立証しました。

  その結果裁判官の意見は、算定表に基づく養育費を相手方に支払えというものとなりましたが、相手方代理人がお金がないと値切った結果

4 付調停

  審判となると、20歳までとなり、20歳で養育費の調停を再度申立しないといけないが、調停で22歳の大学卒業まで養育費を支払うという調停がよいとの裁判官の勧めに従い、算定表より、3万円低い養育費(15万円)を22歳の大学卒業まで支払うという調停が成立しました。

5  算定表より低い養育費の合意をした場合、増額についても合意の趣旨が尊重され、算定表より低額となるというのが、高等裁判所の決定ですので、算定表より低額の養育費の合意をする場合は注意が必要です。

  なお予備校については裁判官は承諾がないと認めない意向でしたが大学進学費用については認める意向でしたが、ご本人の高額となると相手方が支払わないのでないかとの心配で大学進学費用の請求はしませんでした。