有責配偶者からの離婚請求があった場合

1 有責配偶者になるケース

有責配偶者とは、民法770条1項に規定されている離婚原因(離婚訴訟で離婚が認められる要件)を作った配偶者のことで、典型例は不貞をした配偶者です。

 【民法770条1項】

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

 配偶者に不貞な行為があったとき。

 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

2 有責配偶者からの離婚請求をめぐる問題(昭和62年9月2日最高裁判所判決)

有責配偶者からは離婚できないと誤解されている方がいますが、他方の配偶者も離婚を希望している場合には、離婚条件で折り合いをつけて、協議もしくは調停で離婚が成立したケースは多くあります。

離婚が難しいのは、他方の配偶者は離婚を希望していない場合です。この場合、有責配偶者が離婚訴訟を提起しても、裁判所は簡単には離婚を認めません。その理由は、昭和62年9月2日最高裁判所判決によって有責配偶者からの離婚請求を認める要件が厳しく制限されているからです。

【有責配偶者からの離婚請求を認める3要件】

  • 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当長期に及んでいること
  • 未成熟の子が存在しないこと
  • 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を容認することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと

別居期間(要件①)はケースバイケースですが、同居10年に満たない比較的若い夫婦でも最低でも8~10年は必要と思われます。③は抽象的ですが、離婚後に相手方配偶者が住まいや生活に困らないように住居の財産分与や扶養的な金銭支払いを約束することが一般的です。

3 有責配偶者から離婚請求があった場合

  •  離婚を希望しない他方配偶者の場合

 有責配偶者であることの証拠集めをしておくことが大切です。

 また有責配偶者が生活費を支払わない場合には婚姻費用分担調停の申立ても検討しましょう。

  •  条件次第では離婚したい他方配偶者の場合

 有責配偶者との離婚協議・調停の中で、離婚条件を協議しましょう。有責配偶者からすれば訴訟では離婚が難しい以上、相手方配偶者に譲歩して離婚に応じてもらうしかないため、相手方配偶者の希望に近い形で協議・調停離婚が成立することも少なくありません。

 しかし、離婚調停までしても協議がまとまらなかった場合には、婚姻費用をもらいながら有責配偶者からの再度の離婚調停や離婚訴訟提起を待ったり、相手方配偶者から離婚訴訟を提起したりする方法があります。それぞれのメリット・デメリットを弁護士と相談することをオススメします。

4 中国や韓国国籍の方は、有責配偶者でも裁判離婚が認められます。

 中国や韓国の裁判所では有責配偶者からの離婚請求であっても、婚姻が破綻している場合には認めており、日本の最高裁判所も韓国人の離婚についてこのことを認めているので中国や韓国国籍の方は注意が必要です。

 

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この記事の執筆者

弁護士藤井義継

弁護士 藤井義継

専門分野

離婚・相続など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。

弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。

弁護士歴30年以上の豊富な実績があり、離婚問題の早期解決を得意としている。

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