自宅購入の際に、妻の父が1500万円をだしてくれました。残りは夫が銀行ローンで借りました。自宅土地建物の登記は夫の単独名義にした代わりに、夫は妻の父に1500万円の借用書を書きました。
妻の父は亡くなり、遺産分割で妻は、夫に対する貸金1500万円を相続しました。
妻は、離婚後も自宅に子と住むことを希望し、自宅の財産分与と離婚後も夫にローンの支払を求めていたので、この貸金を夫に請求しました。
夫の弁護士は調停で、貸金は、返済時期の定めがないので、貸してから10年(旧民法債権です。現在は5年)で消滅時効で消滅していると主張しましたが、夫婦間債務の消滅時効の停止(民法159条、現在は完成猶予と言います。)の主張をし、ローンの分割支払を継続するほうが、夫にも有利だと説得したところ
離婚後も夫がローンを支払、ローン完済時に所有権を移転することになりました。ローン完済前に所有権を移転すると銀行から一括請求を受ける可能性があるからです。そして、妻の財産分与を受ける権利の仮登記(停止条件付所有権移転の仮登記と言います。)夫に自宅を処分できないようにしました。
有責配偶者の離婚の事案では夫が離婚してもらうため、離婚後もローンを支払うケースがありますが、有責配偶者でない事案で離婚後のローンの支払ってもらえた珍しい事案です。