離婚調停で、東京高等裁判所令和2年の決定に基づき、特別経費である学費について世帯収入比例で算定表額から差引、妻から150万円の財産分与を受け解決した事例

1 ご相談の経緯

  3年前に、妻が別居して家を出、妻は弁護士を依頼して離婚調停の申立をしてきました。依頼者は弁護士を依頼せず、円満調整希望で調停を進めてきましたが調停委員より、弁護士に相談したほうがよいと言われ、相談にみえました。

2 弁護士の進め方

  相談の結果、別居期間が3年を超えており、裁判離婚が可能なので、円満調整は難しいので条件が納得できれば離婚に応ずるとのスタンスで当職が代理人となって調停を進めました。

調停では、妻の財産が開示されていましたが証拠提出されていませんでしたので、証拠の提出を求めました。

別居後の子の学費や仕送りを夫がしていたので妻に清算を求めました。

別居前後に妻が管理していた夫の預金から300万円ほど出金しているので、清算を求めました。

3  解決内容

学費の清算については、財産分与で清算するとの令和2年10月2日の東京高等裁判所の決定がありましたので、財産分与に入れたところ、150万円を妻から夫に支払うことになりました。

養育費については、算定表による計算額9万8000円に学費を加えることになりました。特別経費の清算については、上記東京高等裁判所の決定は、算定表に含まれる学費25万9342円は平均世帯収入761万7556円の場合の金額で、世帯収入に比例して増減されるとしており、この決定に従い算定した結果11万5000円となりましたが、11万円で合意ができました。

共有マンション

婚姻中取得したマンションは、取得時に妻の両親も含めお金をだした割合(夫のほうが妻より少し多かったです。)となっており、この売却して、この割合で代金を分配することになりました。

4 コメント

  婚姻費用や養育費での学費の負担については、一般的には、公立中学の学費25万9342円を学費から差引くことが多いのですが、本件では、妻も正社員で収入が多く、東京高裁決定に従い、世帯収入に比例した結果、11万円の養育費となりました。

妻側は、夫に対し夫が居住するマンションからの退去を求めましたが、夫にはマンション持分がありますので、売却まで居住できるで拒否しました。

持分のない場合も、原則として婚姻中は使用貸借が成立していると考えられるので退去する必要はありません。